平穏な日常がアクシデントで一転、大変な状態になってしまった。このようなことは他人事のように感じがちですが、誰にでも起こる可能性があります。少し語弊があるかもしれませんが、主婦の方であれば、もし急に旦那さんが亡くなられてしまった場合、この先の人生どうされますか?生命保険とは、このような偶発的なアクシデントに対し『保障』を行う、リスクマネジメントのひとつです。生命保険の成り立ちや、基本的な知識をメインにお話ししていきたいと思います。
保険の歴史はこんなにも深い
現在の日本は、どんどん寿命が長くなる傾向があり、平均で80年程度と言われています。80年間生きていく中で様々なアクシデントに遭遇したり、怪我や病気にかかってしまって、収入が減少することもあるかもしれません。ある意味、日常はアクシデントと隣合わせである、といっても過言ではありません。
このようなアクシデントに対して相互扶助の精神から『保険』が生まれたのです。保険の歴史を遡ると、ヨーロッパで世界初の保険が誕生したと言われています。世界で初めて生まれた保険は『海上保険』で、沢山の船が航海によって世界を探索していた時代でした。この海上保険は、航海に出て積み荷や船舶に損害が生じた際に、損害の度合いに応じて金銭を支払うものでした。
当時、まだ船舶技術や航海手法が明確に確立されていなかったため、航海に出るたび損害が出ていたような船もあったようです。このような時代の中では、海上保険はとても画期的なものであり、現在の保険へと続いていったと言われています。現在の生命保険の原型とされているのは、ヨーロッパの『ギルド』という、職能集団が母体となっています。
ギルドは仲間同士の団結、利益の確保と相互扶助を行う目的で作られていました。そこでは、病気の仲間や、遺族の生活保障などの目的のために掛け金を出し合って、団員の助け合いを行っていたのです。このような精神が現代の生命保険にも受け継がれています。日本の生命保険の歴史は、福沢諭吉が江戸時代末期に海外の近代的保険制度を紹介したことに始まり、明治時代には、日本初の生命保険会社が設立されました。
ちなみに、日本初の生命保険会社は『明治安田生命』で、現在も生命保険業の老舗として保険業界を代表する企業として存在しています。
保険はどうやって成り立っているのか
保険は相互扶助の精神で成り立っていると先述しましたが、保険を預貯金と混合される方がいらっしゃいます。預貯金は”積み立てたお金に利息が付いてくる」ものであり、保険は「払い込んだお金が他の人を助けるために使われ、また、自身が助けられるときには他人のお金が使われるものなので、根本的に異なります。
保険は3つの基本原則を根幹としています。
1.大数の法則
数が少ない統計ではどうしようもないことでも、数多くの統計をとることで、ある程度の傾向を把握することができるという考え方のこと。
保険会社では、この大数の法則を利用し、死亡率や事故の発生率などを予測して保険料を算出する。
2.収支相等の原則(必要十分の原則)
保険料を算定する場合、契約者から払われる保険料の合計額と、保険会社が支払う保険金および関連する諸経費の合計額が、最終的に等しくならなければならないという原則。
この原則が成り立たなければ保険は存続できません。
3.公平の原則(給付、反対給付等の原則)
契約者は危険の度合いに応じた保険料を支払う必要がある。すなわち、危険が高い人は保険料が高くなり、危険が低い人は保険料が低くなるという原則。
上記基本原則は損害保険、生命保険問わず保険の基本となっています。また、生命保険会社が公平に保険料の算定を行うために『生命表』が用いられます。生命表とは、実際の統計に基づき1年間の死亡者数を年初の生存者で割って算出した死亡率を、男女別年齢別に表示するものです。生命表を利用することで「ある年齢の人が平均して何年生きるか」という平均余命を知ることができます。
また、一般的に平均寿命と呼ばれるものは、0歳児の平均余命を指します。生命保険を知る上で上記の基本法則は必ず必要となる知識です。
生命保険の専門用語
生命保険を理解する上で、多くの方が躓き易いのが専門用語です。保険分野で共通する用語も多いので、専門用語を理解することのメリットは大きいと言えます。例えば、ご自身で保険の見直しが可能になることで、保険料の節約に繋がる可能性もあります。以下に保険分野で頻出する専門用語をまとめました。
保険契約者
保険会社と契約を結ぶことで、契約上の権利と義務を持つ方のこと。契約後の変更が可能。
被保険者
生死、病気・怪我などが保険の対象となっている方のこと。原則として、契約後の変更はできない。
受取人
保険金・給付金・年金などの金銭を受け取るように、保険契約者から指定されている方のこと。契約後の変更が可能。
保険料
保険契約者が保険契約の対価として、保険会社に払い込む金銭のこと。
保険金
被保険者が死亡・高度障害状態になったとき、もしくは満期まで生存したときに、保険会社から受取人に支払われる金銭。
給付金
被保険者が病気や怪我で入院・手術したときや、災害により身体に障害を生じたときなどに、保険会社から支払われる金銭のこと。
年金
保険会社から保険金を一時金として受け取るのではなく、毎年受け取っていく金銭のこと。
契約日
保険期間の起算日であり、保険料の払い込みや満期日の基準となる日のこと。
契約応当日
契約後における毎年の契約に対応する日のことで、年単位、半年単位、月単位の日のこと。
満期日
契約が満了する日のこと。
保険期間
契約による保障が続く期間のこと。この期間内に保険事故が発生した場合にのみ、保険会社から給付を受けることができる。保険料払込期間とは必ずしも一致しない。
保険料払込期間
保険契約により、契約者が保険料を払い込み続ける期間のこと。
主契約と特約
生命保険のベースとなる部分で、主契約だけでも契約が可能。特約は、主契約に付加して契約するもので、特約のみの契約はできない。したがって、主契約が消滅すると特約も消滅する。主契約は基本的な保険契約に限られているが、特約は様々な種類が存在する。主契約に複数の特約を付加することで、主契約の保障不足を補うことができる。
解約返戻金
中途解約した場合に、契約者に払い戻される金銭のこと。保険の種類や契約によっては、解約返戻金が無いケースもある。
まとめ
現代の保険は、人生計画に欠かせないものとなっています。保険は専門用語が多い分野ですが、一度覚えてしまえば保険証券に記載されている内容が把握できるようになります。すなわち保険に関する知識は、『人生を生きていくうえで欠かせない知識』だと言えるでしょう。
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