人生には3つの大きな出費があります。1つ目は住宅、2つ目は教育資金、そして最後は生命保険です。生命保険は保険金を受け取らない場合においては目に見えない保障というものを買っているにもかかわらず、とても大きな出費になっています。日本人は生命保険への加入率が高い国民です。約8割の人が生命保険に入っていると言われています。
生命保険は高額の買い物をしているのにもかかわらず、家を買うときほど慎重には選びません。中には詳しい保険内容を知らないまま、保険会社の勧める商品加入している人もいることでしょう。さらに新しい商品が出ていることも知らず見直しをしないまま、毎月多額の保険料を払い続けていることも多いでしょう。そんな生命保険について、心当たりのある人は自分にあった生命保険に加入できているのか検討してみましょう。すでに加入している人はどうやって生命保険の見直しをすればよいか提案します。
生命保険は本当に必要?
日本では、多くの人が生命保険に加入しています。生命保険は万が一の時に残った家族の生活を助けるものです。葬祭費として生命保険に加入している人もいるでしょうが、葬祭費目的のみや残る家族構成によっては生命保険の必要はありません。まず葬祭費はその金額を貯金しておく方がはるかに効率的な方法です。保険料には実際の保険金の部分の他に保険会社の人件費や運営費が含まれているのです。葬祭費目的なら加入してすぐに亡くなった場合を除いては、必要な額を自分で貯金する方がはるかに効率的です。
次に、家族の生活費に生命保険を備える場合はその保険金は数千万円と高額になるので、必要であると言えます。しかし、もし独身や子どものいない夫婦共働き世帯であれば、生活費が困る場面がやってくるのでしょうか?そういった備えは家族が増えてからでも間に合います。毎月掛金を払って加入する生命保険が、本当に必要かどうか検討した上で加入することをおすすめします。
遺族保障の考え方
では、小さい子どもを抱える世帯などで生命保険が必要だと判断した場合、次に決めるべき項目は生命保険の保険金がいくら必要なのかということです。残された家族が受け取ることができる遺族保障はまず、公的保障から考えましょう。
亡くなった人が国民年金に加入している場合、子どものいる配偶者は遺族基礎年金が受け取れます。子ども1人の場合は年間約100万円、2人は120万円、3人の場合130万円を受け取ることができます。
さらに亡くなった人が厚生年金に加入している場合、配偶者には遺族厚生年金も受け取ることが可能です。例えば、年収300万円で厚生年金に加入していれば、子ども1人で月10万以上年金を受け取れ、年収500万円の世帯では月12.5万円の年金が受け取れます。もちろんそれだけでは十分とは言えませんが、生命保険の保険金を考える場合この金額を正しく把握しておかないと余分に掛金を増やすことになりかねません。
さらに遺族の基本生活費を考えてみましょう。仮に妻と子どもが残された場合、大体月25万円の生活費がかかるとして、この金額から公的保障額を引いた金額を計算します。そして妻が働くことができれば、その給料も引いて良いでしょう。残った金額を年額にし、さらに何年間必要か計算します。その総額が生命保険で補うべき遺族の生活にかかる金額とわかります。
子どもを育てている場合は、これに加えて教育費などのまとまったお金を考慮しなければなりません。高校まで公立にいったとしても大学進学する場合には入学金や高額の授業料が必要です。近年は国立大学の授業料も上がっているため、教育資金は全体的に上昇しています。一般的に子ども1人につき1,000万円は用意しておきたいところです。私立学校への進学を想定すると3,000万円もの教育資金が必要となることもあるので、注意しましょう。
また配偶者の老後の生活資金も世帯主である人が亡くなった場合には、必要となります。退職後の60歳から配偶者自身の老齢年金をもらえる65歳までに約1,000万円は必要です。こうした生活費の不足分、教育資金や年金の補填を考えた上でさらに各個人の状況に応じた受け取るべき生命保険金額が算定されるのです。
掛け捨て、終身どっちがお得?
生命保険の基本形
1.定期保険・・・一定期間に被保険者が亡くなると保険金支払 期間満了すれば掛け捨て
2.終身保険・・・一生涯保障 解約すると解約返戻金がもらえるが保険料は高額
3.養老保険・・・生存して満期になると死亡保険額と同額の満期保険金が支払われる
生命保険には掛け捨ての定期保険か、終身保険のどちらに入るべきかという問題があります。もちろんお金がたくさんあれば一生涯保障の続く終身保険が魅力的かもしれません。しかし、実際は子どもが成長し教育資金が必要なくなった人や、貯金がある程度に達すれば生命保険は必要ありません。以前のように終身保険の解約返戻金がとてもいい利率で運用されていれば貯蓄として終身保険を活用することも考えられますが、今はそれも期待できません。定期保険の掛け捨てで、できるだけ保険料を安く抑える方が効率的といえるでしょう。
様々なタイプの生命保険
生命保険のタイプ
1.定期保険特約付終身保険・・・終身保険を主契約、定期保険を特約で組み合わせ
2.アカウント型保険・・・保障部分と積立(アカウント)部分に配分
3.変額保険・・・運用実績に応じて保険金額変動
定期保険特約付終身保険は掛金の高い終身保険の保障額を少なくし、大きな死亡保障が受けたい期間のみ定期保険を特約として追加する保険です。アカウント型保険は一時代前に流行した生命保険で、アカウント部分は預金のように引き出すことが可能なため積立ができる保険として販売されました。しかし保険の内容が複雑で、実際にはアカウントがほとんど貯まらず、更新の度にアカウントから保険料が充当されていくなど商品によっては貯蓄性が低いものもあります。
変額保険は死亡保険金には最低保証額がありますが、満期保険金や解約返戻金には最低保証額がありません。通常の保険商品は、保険料が一般勘定で運用されますが、変額保険は特別勘定で運用します。運用先が複数用意されていることもあり、リスクを契約者自身の選択で背負う形となります。
生命保険はこのようにたくさんの種類がありますが、現在は年齢によって保険金額が減っていく第4のタイプもあります。いわゆる定期保険の逓減型の生命保険です。この商品の特徴は、保険料が入った年齢によって決まり契約中は変わりません。そして保険金が若い時ほど高く、徐々に減っていくタイプの保険です。
つまり見直す必要なく年齢を重ね、保険料が高くなる頃には、保険金の必要額を減らすことで保険料の無駄な掛け過ぎをコントロールしてくれるのです。今までの定期保険や終身保険に入っている人は子どもが成人後や、貯蓄が増えていたとしても、自分で見直しをかけなければ同額の保険金を受け取る設定になっていました。けれども、この保険なら見直す手間が省けるということです。
さらに、生命保険を一括で受け取るよりも年金として分割して受け取ることが出来るタイプをおすすめします。高額の保険金をもらうと自分自身で管理、長期運用していかなければなりません。万が一使いすぎてしまうと、本当に必要な時期にお金がたりなくなってしまいます。年金で受け取れば、保険金を一定額ずつ分割して、数十年間に渡って貰い続けることができますし、その間も保険会社が運用してくれますので、一括受け取りより保険金総額は多くなります。
死亡だけではなく障害状態、要介護状態になったとき、毎月の給料のように年金を支払うこのタイプの保険は収入保障年金保険として販売されています。生命保険に加入を検討している若い家族には、このタイプが一番合うのではないでしょうか。
まとめ
生命保険は加入が必要な人は限られていると言えます。自分がもし、必要だと感じない場合や保険の内容が合っていないと感じた場合は、すぐに見直しや解約をするべきでしょう。保険料は家計を圧迫する大きな要因だということを認識してください。加入が必要な場合にも、適正な保険金額と商品内容をじっくり検討して加入することをおすすめします。
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