「今月も住宅ローンの返済がつらい…」「住宅ローンを利用しているけれど、どんな返済方法がいいのかよくわからない」とおっしゃる方、大変多いです。住宅は人生で一番大きな買物です。したがって、住宅ローンは人生で一番大きな借金ともいえます。支払額が高い住宅ローンを少しでも賢く返済していくことで、ライフスタイルもガラッと変わります。今回は、住宅ローンの賢い返済方法を4つピックアップして、わかりやすく解説していきたいと思います。
住宅ローンを組む前に気を付けておくこと
はじめて住宅を購入する際、高額な初期費用に驚かれる方が多いそうです。 それもそのはず。 住宅を購入するときに必要な初期費用は、住宅の種類や住宅ローンの違いなどによって異なりますが、大体住宅購入価格の約5%程度といわれています。したがって、3,000万円の住宅を購入した場合、150万円が初期費用として必要になる、ということです。 住宅ローンを組む前に初期費用を含めた計算をしておかないと「こんなはずではなかった!」と後悔する羽目になってしまいます。
初期費用の中で、なにがそんなに高いのかというと、主に住宅ローンの保証料と融資事務手数料です。住宅ローンの保証料とは、住宅ローン保証料を支払うことで、利用者が債務不履行となった際に利用者の肩代わりとして、住宅ローン保証会社が債務を負うというものです。したがって、金融機関は利用者が債務不履行となったとしても、住宅ローン保証会社に債務を請求することができるので、安心してお金を貸すことができます。
結果、利用者は住宅ローン保証料を支払うことで、本来の信用度以上の信用を得ることができる、ということです。ちなみに、利用者が債務不履行となった際、住宅ローン保証会社は、債務を肩代わりして金融機関に返済しますが、利用者の返済義務が消えるのではなく、住宅ローン保証会社に返済義務を負います。住宅ローン保証料がかからない住宅ローンは、先述した融資事務手数料が高くなる傾向があり、結果として、住宅ローン保証料を支払っている場合と合計額が変わらないというケースがあります。
そのようなことが無いように、事前に初期費用を含めた合計額をしっかり確認しましょう。また、住宅を土地なしで購入する場合、建物の劣化とともに資産価値が下がり、後述する借り換えを利用できなくなる可能性がありますから、十分検討した上で購入しましょう。
合計額が減少!?借り換えの効果は
現在は過去最低水準の超低金利時代です。「住宅ローンを借り換えした」という方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか。借り換えとは、返済しているローンを一括返済するために、新たに住宅ローンを借りることを指します。上手く借り換えができれば、超低金利の恩恵を受けて、合計額を減少させることも可能です。上手く借り換えができた場合の例を比較してみましたので、下記をご覧ください。
事例(借入時期) | 住宅ローン残高 | 金利 | 年間返済額 | 差額 | |
---|---|---|---|---|---|
フラット35 | (2012年5月) | 2,500万円 | 2.07% | 128.2万円 | ▲51,804円 |
借り換え後 | 2,575万円 | 1.46% | 123.0万円 | ||
変動金利型 | (2010年5月) | 2,500万円 | 1.475% | 119.6万円 | ▲57,792円 |
借り換え後 | 2,525万円 | 0.975% | 113.8万円 | ||
10年固定 | (2011年5月) | 2,500万円 | 2.20% | 130.1万円 | ▲103,356円 |
借り換え後 | 2,525万円 | 1.40% | 119.8万円 |
※条件:残高2,500万円、返済期間25年
※あくまで参考例ですので、実際の金利とは異なります。
上記の例を参考にすると、
・金利差=1%以上
・残り返済期間が10年以上
・住宅ローン残高が1,000万以上
の時に借り換えの効果が高くなることがわかります。
また、返済期間が長く、ローン残高が多ければ多いほど、わずかな金利差でも大きな効果を得ることができます。借り換えする際に注意しておかなければならないのは、もう一度住宅ローンを新しく組むことになるので、住宅ローンの諸費用が再度掛かるということです。住宅ローンを利用する際に必要な諸費用の例を挙げると、
・印紙税
・融資事務手数料
・登録免許税(抵当権抹消)
・登録免許税(抵当権設定)
・司法書士へ支払う報酬
が主に必要となってきます。
借り換えに必要な諸費用額は、ローン残高の1%が目安となります。したがって、ローン残高が3,000万円の場合、約30万円が必要となるということです。
金利差があまりに少なすぎると諸費用額の方が高くなってしまい、支出の方が多くなってしまうことが考えられるので、合計額を綿密に計算・比較することが重要です。借り換えを上手く利用できた場合、もともとの住宅ローンで支払う予定だった利息額が削減でき、結果として住宅ローンの返済合計額を減らすことができるというわけです。借り換えを利用する際には、現在の金利が高いのか、低いのかを判断する情報が必要になってきますので、金融情勢を調べておきましょう。
チャンスを生かす!繰上げ返済
住宅ローンは毎月返済していきますが、通常の返済とは別に、いつでも好きなだけ返済することが可能です。通常の返済以外で繰上げて返済することを、繰上げ返済といいます。繰上げ返済した金額は元金部分に充当され、結果としてその元金部分にかかるはずだった利息を支払わなくてもよくなり、トータルの返済額も軽減されます。繰上げ返済には、残りの元金分全てを返済してしまう繰上げ完済と、元金の一部分を返す一部繰上げ返済があります。さらに、一部繰上げ返済には大きく分けると、
・毎回の返済額はそのままで、返済期間を短縮する方法(期間短縮型)
・返済期間はそのままで、毎回の返済額を減らす方法(返済額軽減型)
があります。
カットされる利息の額を比較すると、期間短縮型の方が利息軽減効果は大きく見えますが、結果として見ると、実質的な効果は同じになります。返済期間が長い方は期間短縮型を選び、返済額を減らしたい方は返済額軽減型を選ぶ、という認識でいいでしょう。臨時収入があったときをチャンスと捉え、“繰上げ返済に臨時収入を利用する”というのも、住宅ローンの賢い返済方法といえるでしょう。
貯蓄するよりも資産運用!?
「貯蓄するよりも住宅ローンの返済額を増やす方がいいのか?」ということをよく質問されます。結論からいうと、毎月の返済額を高負担とするのはおすすめしません。なぜかというと、一時的に経済状態が安定しているように見えたとしても、リストラであったり、会社の倒産、予期せぬ出費などのリスクは予測できないからです。様々なリスクに備えて貯蓄しておくということは重要です。一つの例として、経済状態に余裕がある方は貯蓄に回す予定だった一部の額を資産運用に利用する手段もあります。毎月3万円を貯蓄した場合と、毎月3万円を2%の金利で運用したケースを比較し、まとめてみました。
年数 | 貯蓄残高 | 資産運用残高 | 差額 |
---|---|---|---|
5年 | 1,800,000円 | 1,894,573円 | ▲94,573円 |
10年 | 3,600,000円 | 3,988,226円 | ▲388,226円 |
15年 | 5,400,000円 | 6,301,877円 | ▲901,877円 |
20年 | 7,200,000円 | 8,858,645円 | ▲1,658,645円 |
25年 | 9,000,000円 | 11,684,075円 | ▲2,684,075円 |
※貯蓄は適用金利無として計算しています。
上記の比較を参考にすると、25年後には約268万円の差額が発生している計算となります。すなわち、差額分を住宅ローンの繰上げ返済に利用するという考え方も出来るわけです。資産運用する際は、当然のことですが元本割れのリスクが伴いますので、余裕資金で行いましょう。
まとめ
いかがでしたか?住宅ローンの返済は家計にとっても負担が大きいため、住宅ローンを賢く返済するということは人生を賢く生きることに繋がるといっても過言ではありません。
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