2016年7月に参議院選挙を控える安倍政権は、石油安という外部要因に阻まれながらも断固として、物価2%上昇という目標を掲げています。物価が上がるということは物を買うために、今までより多くのお金を支払わなければなりません。つまり、お金の価値が下がっていくのです。もちろん給料が同じような水準で上昇していけば、家計にとってのダメージはありませんが、必ずしも給料が年齢とともに上がるとは言えません。現代の日本社会においては物価上昇に備え、資産を増やしておく必要があります。
貯金にもリスクはある!?
皆さんは、貯金をしておけば絶対にお金は減らないと思っていませんか?貯金は確かにお金自体が減ることはありません。しかし、お金の価値は減っているかもしれないのです。物価が上がったときすべての資産が現金であると、物価上昇時にはお金の価値が下がります継続的な収入の増加がなければ、モノを買うために今までより多くのお金が必要となるため、資産が減っていく一方です。
今から資産を少しずつ運用して、株や投資信託に分散しておくことがこういった物価上昇へのリスクヘッジになります。例えば、物価上昇の局面において株価が上がるため、株や投資信託を持っていれば価値が増え資産を増やすことになります。貯金以外の資産運用をしていないということは、ある意味でリスクをとっているといえます。銀行預金だけでなく様々な方法で資産を運用することが必要な時代です。
長期運用で素人でも資産を増やせる?
では、実際にどれくらいのお金があれば、資産運用を始めることができるのでしょうか?まとまった資金がなければ投資ができないのかというとそうではありません。しかし、万が一、病気やケガで働けなくなった時や、失業した時にすぐに引き出せる現金が不足していては生活に支障が出ます。生活費の最低3ヶ月分は銀行にあずけておきましょう。そして残りの資金を資産運用に分配していきます。なお、この生活費として確保する現金はご自身の環境に応じて、教育費など現金で確保しておきたいという個別の理由があれば増やすことは自由です。
差し引いた貯金を今度は、リスクのない資産運用とリスクを取った資産運用に分割します。この比率は4対6くらいが目安ですが、リスクを取る運用については1年で1/3くらい損をしても耐えることができる金額に設定しておきましょう。
資産運用にはリスクがあります。短期間で必ず儲かると言えません。けれども長期間保有することで、例え、リーマンショックのような株の大暴落があったとしても取り返すチャンスがあります。平均寿命が伸びている現代では、資産運用しながら年金生活を送ることが想定されますので、中高年でも数十年というスパンで資産運用は考えるべきでしょう。若い人は少額ずつ資産運用を始め、長期間運用できるというメリットを存分に発揮しましょう。
長期運用にあった金融商品
少額で長期運用をするなら投資信託が最も適した金融商品だといえます。投資信託は様々な投資対象を少しの金額で買うことが可能です。
投資信託の投資対象
1.国内株式、海外株式
2.国内債券、海外債券
3.REIT(不動産)、コモディティー(石油、金など)
さらに運用会社に運用を任せるので、個別の株を保有するより手間が掛かりません。手数料はかかりますが、ノーロードと呼ばれる購入時手数料が無料の投資信託も発売されています。ただし、信託報酬という運用や管理の手数料は日割り計算で毎日残高から差し引かれます。多くの種類がある投資信託から、どの投資信託を買うかということは個人の判断になりますが、それぞれの投資対象を組み合わせたバランス型の投資信託を選べば国内外の株や債券に分散して投資することも可能です。
さらにポートフォリオによって組み合わせた株式や債権の割合が価格の変動によって崩れた場合にも、リバランスをしてくれます。購入する投資信託さえ決めれば、基本的にそのあとはお任せできます。いつ買うべきなのかということも投資信託を購入する上で、大きな決断になると思われます。投資信託の売買をする際の時価である基準価格は日々、変動するものです。安い時を狙って買うことは素人には容易ではありません。そこで提案したいのが、ドルコスト法による積立投資です。
ドルコスト法とは毎月一定額を投資する方法で、これにより基準価格の安い時はたくさん買えますが、高い時には購入数を減らすことで購入単価を平均的に下げることが可能になります。長期に渡ってドルコスト法で積立投資すれば、高い時期に買って大損するという事態は防ぐことができます。また、現在まとまった資金がなかったとしても気軽に始めることが可能です。
現在ネット証券会社では500円から投資信託の積立投資ができるものもあり、実践で売買を経験することができます。銀行からの自動引き落としも可能ですので、毎月決まった日に給与講座から引落しをして投資信託を買い付けるよう設定しておけば、忘れることもなく大変便利です。先取り貯金のような感覚で給与の一部を、投資に充てることができますので積立投資をするならこのサービスを利用しましょう。
このように投資信託は始めにどの商品を買うか選べれば、売買のタイミングを気にすることなく、少額で始められます。さらに運用自体は専門の運用会社に委託するので、初心者にも対応した金融商品といえるでしょう。
投資信託選びのポイント
では、投資信託に興味を持った人が実際にどういう商品を選べばよいのか紹介します。先ほど紹介したバランス型の投資信託でも数種類のものが販売されており、同じような投資対象の投資信託をどういった基準で選ぶかは大事な判断です。
投資信託選びの3つのポイント
1.純資産・・・30億円以上で増加傾向にある
2.運用コスト・・・コストの安いインデックスファンド
3.分配金・・・分配金を再投資するタイプの投資信託
投資信託選びのポイントは主に3つあります。まず純資産です。これは投資信託の規模を表すもので、どれだけその投資信託を運用する資金があるかということです。純資産が少ないと運用会社は思うように株や債券を購入できず、運用うまくいかないリスクが高くなります。また純資産に応じて得られる信託報酬という利益が運用会社の儲けであり、あまりに純資産が少ないと儲けられなくなった投資信託自体がなくなってしまう可能性がありますので気をつけましょう。
2つ目はコストです。投資信託を長期に保有するのであれば、手数料は少なければ少ないほど有利といえます。ノーロードを選んで購入時の手数料を無料にすることは可能ですが、保有中は信託報酬が掛かります。投資信託の中には、指標を上回る収益の獲得を目指すアクティブ運用と平均的な指標との連動を目指すパッシブ運用があり、アクティブ運用されたアクティブファンドの投資信託を買う方がいいように思われますが、実際はコスト以上の成績を収めることがプロのファンドマネージャーでも難しいようです。ですので、コストの安いパッシブ運用をするインデックスファンドの商品を選んだほうが長期的には勝ると言われています。
最後は分配金です。投資信託の営業トークでは、よく分配金でお小遣いがもらえるということを言われますが、高い分配金をだす投資信託がいいとは限りません。分配金の中には配当収益ではなく、資産を取り崩すことによって高い分配金を出している投資信託もあります。基本的に長期で運用する場合、分配金は再投資することで元本を増やしていくことができる投資信託がおすすめです。
まとめ
これまで貯金しかしてこなかった人が少額でも資産運用することは、これから先の物価上昇というリスクに備えることにつながります。一方で運用のリスクも背負うことにもなります。
コメント