「お金に困ったときはカードローン!」と、インターネット広告でも頻繁に表示しているように、現在カードローン市場は拡大傾向にあります。カードローンとは、カードを使用し限度枠内であれば何度でも借り入れ・返済を繰り返すことのできるものを指します。カードローンの利便性はとても優れており、夜間でも借り入れ・返済を可能とするなど、いざというときの強い味方と言えるでしょう。しかし、現在カードローンには多くの種類があり、特徴を理解するためには最低限の知識が必要です。今回は、カードローンを理解するために必要な専門用語や制度、法律について詳しく触れていきます。
重要キーワード「貸金業法」
「カードローンを利用しよう」と検討している方なら、必ず目にする重要なキーワードは「貸金業法」です。貸金業法とは、平成22年6月18日に改正された貸金業を対象とする法律です。改正の背景には、多重債務者の社会問題化に歯止めをかける狙いがありました。
それまでの貸金業法は、現在のような締め付けが厳しい法律ではなく、利用者の返済能力を超えた貸付でも罰則規定は特に設けられていませんでした。したがって、複数の消費者金融で借り入れを行った利用者が多重債務を抱えてしまい、最終的に自己破産に陥ってしまうケースが後を絶ちませんでした。
このような問題を受け、消費者保護の観点から貸金業法は改正されたのです。現行の貸金業法の中で重要なポイントを挙げると、
1.総量規制
2.上限金利の引き下げ
3.貸金業者に対しての規制強化
という3つのポイントがあります。1つめの総量規制は非常に重要な制度ですので、次章で詳しく触れます。2つ目の「上限金利の引き下げ」とは、それまで設けられていた上限金利である29.2%から、融資金額に応じた15~20%までを上限金利とし、事実上の引き下げを行いました。
それまでは利息制限法と出資法によって上限金利が定められていましたが、利息制限法と出資法の上限金利にグレーゾーン金利と呼ばれる金利差があり、利息制限法の上限金利は超えているものの出資法の上限金利以下という金利帯で貸付していた業者が非常に多かったのです。したがって、グレーゾーン金利を防ぐために、出資法と利息制限法の上限金利が統一されました。
3つ目の「貸金業者に対しての規制強化」とは、貸金業務の指導、助言を行う国家資格を所持する者を、各営業所に配置するよう義務化したことです。貸金業者は業務の性質上高い倫理観と最新規制の把握が必要です。したがって、知識を有する者を各営業所に置くことで、関係法令の遵守を周知徹底させる働きがあります。このように、改正貸金業法は消費者保護を最優先としています。
カードローンの種類と総量規制
インターネットを見ていると、「カードローンは種類が多すぎて、どれが良いのかわからない」と感じている方もいらっしゃるでしょう。カードローンは大きく分けて
・銀行カードローン
・消費者金融カードローン
の2種類があり、カードローンを取り扱う業者の業務形態によって分けられます。銀行が直接取り扱うカードローンを銀行カードローン、消費者金融が取り扱うカードローンを消費者金融と言います。この2種類のカードローンは取り扱う業者が違うだけでなく、それぞれの業務形態を活かした特徴があります。
銀行カードローンと消費者金融カードローンの特徴まとめ | ||
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種類 | 特徴 | |
銀行カードローン | 比較的融資上限金額が大きく、低金利なものが多いです。銀行が行う業務は「銀行法」の対象であるため、貸金業法の対象となりません。したがって、銀行カードローンは銀行法の対象となり、貸金業法の規制である「総量規制」は対象外となります。銀行業務は土日祝日休業となっているケースが多いため、カードローンの審査も停止している場合があります。 | |
消費者金融 | 独自の審査基準とノウハウを持ち、銀行カードローンに比べて融資までのスピードが比較的速いです。アコム、プロミスなど、消費者金融の中には銀行の傘下となっている企業もありますが、業務自体は貸金業に属するため、「貸金業法」の対象となります。したがって、貸金業法の規制である「総量規制」の対象となります。 |
貸金業法の規制である「総量規制」は、返済能力を超えた貸付を防ぐ目的で設けられた制度です。総量規制は年収の3分の1以上の貸付を禁止するもので、消費者が債務過多となってしまうことを未然に防ぎます。例えば、年収300万円の方であれば、100万円以上の借り入れはできません。また、複数社にまたがって借り入れしている場合も、合算で年収の3分の1までしか借り入れすることができないように、「個人信用情報機関」が管理するデータベースへ照会を行うようになりました。
ちなみに、上記の図で触れたように、銀行が取り扱うカードローンは総量規制の対象となりません。したがって、理論上は年収の3分の1以上を借り入れすることが可能となっています。しかし、銀行から見ても利用者の返済能力を超えた貸付はリスクが高いため、実際の融資上限金額は年収の3分の1以内となる場合がほとんどです。
このように、銀行カードローンと消費者金融カードローンを選択する場合には、それぞれの特徴を把握する必要があります。
グレーゾーン金利と過払い金請求って?
「過払い金請求はコチラ!」という広告を見たことはありませんか?電車の車内広告やネット、テレビCMなどでもよく放映されています。これはグレーゾーン金利と深い関係があるのです。貸金業法が改正される以前、出資法と利息制限法の上限金利には大きな差がありました。利息制限法の上限金利は20%、出資法の上限金利は29.2%、なんと9.2%も金利差があったにも関わらず、利息制限法以上の金利で貸付をしたとしても出資法以下の金利であれば罰則規定はありませんでした。
先述したように、多くの消費者金融業者は利息制限法以上、出資法未満の金利で貸付を行っていました。その後、貸金業法の改正により、利息制限法と出資法の上限金利は等しいものとなりましたが、既に借り入れしていた消費者は、「グレーゾーン金利は無効」と主張し裁判を起こしました。結果、消費者側が勝訴し、グレーゾーン金利分の返還命令が消費者金融に出されました。返還されたお金のことを「過払い金」と言い、過払い金を請求することを「過払い金請求」と言います。
その後、多くの消費者が消費者金融に過払い金請求をしたため消費者金融市場は縮小、さらに、大手消費者金融会社が倒産し、金融業界に大きなダメージを与える出来事となったのです。
まとめ
貸金業法はカードローンと深く関係のある法律です。銀行カードローンや消費者金融、それぞれの特徴をしっかり把握しておくことで、よりご自身にピッタリのカードローンを選ぶことができるでしょう。また、グレーゾーン金利に心あたりのある方は、過払い金請求することにより払い過ぎた利息が戻ってくる可能性があります。心当たりのある方は専門家に相談してみるといいでしょう。
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